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満鉄・731部隊の足跡を求めて~中国へ(4)



 翌日はAさん、Bちゃんと「大連満鉄旧址陳列館」へ。満鉄関連の本格的な資料展示は本館が初めて。最近できたばかりだという陳列館のチラシをもらう。

 1908年に完成した本社は、ロシア統治時代に学校だった建物だ。現在は市の鉄道局の事務所等に使われている。
 満鉄本社の大連移転100年を記念して、07年に左半分を市から借りる形で作られた(一般公開は同年9月10日)。展示館部分(総裁室と社員用の礼拝堂)は陳列館を作る前、倉庫だったという。

 館内で変わった所は1階部分の廊下位。職員に給与を払う窓口も残っている。2階の廊下は木でできており当時のままだ。

 びっくりするのが、Aさんらが展示館を整備するまで満鉄時代の展示品が倉庫にあったり普段使いされていたりしたということ。価値のあるものとは中国側も思っていなかったらしい。
 総裁室に棚が置いてある。「ここを見てください」と言われ棚の右上を見ると、確かに「総裁室」のプレートがある。「倉庫にありましたがこれで総裁室のものだと分かったんです」
 総裁室の前にある秘書室の椅子。「2年前まで実際に使われていたんですよ。満鉄のマークが付いているでしょう?新しい椅子と交換してもらったんです」

 展示館部分でAさんがもっとも苦労するのが入口にある「前言」パネルの内容だ。すでに書き換えは4回しているが文章が確定していないので、ビニール素材で文字が作ってある。
 一部の満鉄関係者は直接軍事行動に関わっていないと主張しており、日中で歴史見解が合わない。「調整の上、早く正式な文章として公開したいのですが」とAさん。
 先日見学した遊就館の展示内容も外国の圧力で変更されてきた。日中両国の利害のぶつかり合いはここでも行われているわけだ。

 館内のパネルは全て中国語。「日本語訳も付けたいんですが」。ここでも歴史認識の問題があるようだ。パネルは約50点。展示物は食器、カーテン、時計など約60点。

 テーマは4つに分かれる。特に後藤が満鉄の経営理念として力を入れた「文装的武備」のコーナーの写真は豊富だ。

 満州支配で重要なことは武力だけではなく経済的文化的開発を施し、教育、医療、交通などのサービスを向上させることだった。大連市図書館などが集めた写真は見ごたえがあり、「これも満鉄がやったんですか?」「これも?」「これも?」という位、大連市の公共サービスを満鉄が担っていたことがうかがえる。満鉄の鉄道技術は東海道新幹線に生かされており、「ひかり」「のぞみ」の名前は満鉄時代に走っていた急行列車の名前と同じだ。
最後の満州事変の展示については、「やめましょう」とAさんは黙ってパネルの前を通りすぎた。

 総裁室には歴代総裁のパネルがあるのだが、Bちゃんは「この人の本を読んだ」とある総裁の写真を指し示した。指差した先は「小日山直登」。第16代総裁だが、日本で有名な総裁というと、後藤や中村、松岡洋右を思い浮かべるのだが……。中国側で印象に残る総裁は違うのだろうか。

 展示物は関係者がオークションで買い集めたり、発掘を続けている関係で、少しずつ増えているらしい。防火用の水がめが置いてあったのだが、買ったものだそうだ。街中にある満鉄グッズの店にあるものは偽物だという。
 展示品の中でAさんが感慨深そうに見ていたのは、チチハルで発掘された満鉄総裁のものも含む社章バッジだ。青、橙、黄、緑、黒(総裁)のバッジが箱に整然と並んでいる。

 Aさんとしては、建物の一部に限定されている陳列館を拡張できないかという思いがあるそうだ。一方でAさんに対する支援は少ない。「この活動、どうなっていくんでしょう。取り組むのは自分が最後じゃないでしょうか」とAさんは言っていた。
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